カタゲン期とは、髪の成長が停止し、毛包が縮小して抜け落ちの準備をする短い移行期であり、毛髪全体のバランスや見た目に影響を与える重要なフェーズです。この記事ではカタゲン期(退行期)がヘアサイクルのどの位置にあり、なぜ抜け毛が増えるのか、また自宅でできる対策や受診の目安までをわかりやすくまとめています。
医学的な視点と生活改善の両面から具体的な行動につなげられる情報を提供しますので、日常の不安解消や治療検討の参考にしてください。
カタゲン期とは?ヘアサイクル(成長/growth→退行→休止)の位置づけ
ヘアサイクル(毛周期)は一般に成長期(アナゲン)→退行期(カタゲン)→休止期(テロゲン)の三つの段階に分かれます。
カタゲン期は成長が停止し、毛包が縮小して抜け落ちの準備をする短い移行期であり、毛髪全体のバランスや見た目に影響を与える重要なフェーズです。
髪一本一本が異なる周期で動くため、日常的に見られる抜け毛の多くはこの自然な周期変化に由来しますが、周期の乱れや割合の変化が長期的な薄毛の原因になります。
カタゲン期の定義と英語表記(catagen phase/hair cycleの一部)
カタゲン期(英語:catagen phase)は、毛母細胞の分裂が停止し、毛包と毛根の構造が短期間で退行・収縮する段階を指します。
通常は数週間程度で完了し、成長期と休止期をつなぐ移行期の役割を担います。
英語表記では “catagen phase” とされ、医学・美容の文献でも広く使われています。
カタゲン期の理解は、抜け毛のメカニズム把握や治療選択にも直結しますので、基本的な定義を押さえておくことが重要です。
- 英語表記:catagen phase
- 役割:成長期から休止期への移行(毛包の収縮)
- 期間:短期間(通常2〜4週間程度)
カタゲン期がヘアサイクル・毛髪の周期に与える影響
カタゲン期はヘアサイクルの短いフェーズですが、毛包の退行が連鎖的に生じると休止期に入る毛髪の割合が増え、結果的に短期的に抜け毛が増加します。
この過程自体は自然な周期の一部ですが、ホルモンや栄養状態、ストレスなどでカタゲン期への移行が促進されると、成長期にある毛髪の割合(アナゲン比率)が低下しやすくなります。
長期的にはアナゲン期が短縮すると髪の密度や太さが低下し、薄毛の進行につながるリスクがあります。
カタゲン期の期間はどれくらい?通常の周期との比較
カタゲン期の期間は個人差がありますが一般に約2〜4週間とされています。
これに対して成長期(アナゲン)は数年単位(個人差で2〜8年程度)、休止期(テロゲン)は約2〜3ヶ月程度が多いとされます。
毛周期の各段階の比率や期間が健全であることが、髪の長さや量、太さを保つために重要であり、カタゲン期が長引いたり頻発すると見た目の変化につながります。
下表は各期の一般的な目安を比較したものです。
| 周期 | 英語 | 一般的な期間 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 成長期 | Anagen | 2〜8年 | 毛髪が長く太く成長する期間 |
| 退行期 | Catagen | 約2〜4週間 | 成長停止と毛包の収縮、休止期への移行 |
| 休止期 | Telogen | 約2〜3ヶ月 | 毛根が休み、古い毛が抜け新しい毛へバトンタッチ |
カタゲン期と抜け毛の関係:増加する理由とタイミング(髪の毛・毛包の変化)
カタゲン期は「抜ける準備期間」とも言え、毛包が縮小して毛幹が皮膚表面に押し上げられるため、比較的短期間で毛が抜けやすくなります。
正常なヘアサイクルでは年間を通じて一定数がこの段階を通過するため、1日に数十本〜百本程度の抜け毛は生理的に許容されます。
しかしストレスやホルモン変動などでカタゲン期に入る毛髪の割合が増えると、一時的に抜け毛が急増するケースがあり、これが目に見えて「抜け毛が増えた」と感じる主要因の一つです。
なぜカタゲン期で抜け毛が増えるのか:毛包と毛髪の退行プロセス
カタゲン期になると毛母細胞の分裂が停止し、毛包上部が縮小することで毛幹の保持力が弱まります。
このため毛幹は頭皮表面に押し上げられ、軽い摩擦やブラッシングで容易に抜けるようになります。
毛包の退行は短期間で進行するため、同時期に多くの毛がカタゲン期になれば短期間で抜け毛が増加して見えます。
さらにこの段階では毛乳頭との接触面積が減るため、次の成長期に入る際の成長力にも影響を与える可能性があります。
DHTやホルモンの影響は?成長抑制と薄毛へのつながり
ジヒドロテストステロン(DHT)やその他の性ホルモンは、一部の毛包に対して成長抑制的に作用しやすく、アナゲン期を短縮してカタゲン期・テロゲン期へ移行させることで髪の密度を低下させます。
特に男性型脱毛症(AGA)ではDHTが毛乳頭や毛包の受容体に作用して毛周期を変化させ、毛が細く短くなるミニチュア化を引き起こします。
ホルモンバランスの変化は女性にも影響を及ぼし、出産後や更年期などで一時的に抜け毛が増えることがあります。
自然な抜け毛と薄毛(病的抜け毛)の見分け方
自然な抜け毛は季節変動や日常的なヘアサイクルに伴い発生し、抜けた後は通常新しい毛が生えて周期が回復します。
対して病的な抜け毛は抜け毛量が持続的に多い、地肌が透ける、髪質が細くなるなどの変化が見られ、進行性の場合は専門医の診断が必要です。
早めに見分けるポイントとしては抜ける本数の急増、特定部位の薄毛、頭皮の赤みやかゆみなどの症状が挙げられます。
自己判断が難しい場合は写真や抜け毛記録を持参して受診することをおすすめします。
カタゲン期の原因を整理:内部要因(遺伝・ホルモン)と外部要因
カタゲン期への移行を促す原因は大きく内的要因と外的要因に分けられます。
内的要因としては遺伝的体質やホルモンバランスの乱れがあり、特にジヒドロテストステロン(DHT)などの作用で毛周期が短縮されることが知られています。
外的要因では栄養不足や強いストレス、薬剤の副作用、過剰なヘアケアや化学施術などが毛包にダメージを与え、カタゲン期への移行を促進します。
これらは単独で作用する場合もあれば複合して影響することもあり、原因の特定が治療方針を左右します。
遺伝・ホルモン・DHTなど内的原因とその仕組み
遺伝的要因は毛包の感受性に関係し、特定の遺伝子があるとDHTに対して毛包がより影響を受けやすくなります。
DHTはテストステロンが5α還元酵素によって変換されたホルモンで、毛乳頭の受容体に結合するとアナゲン期を短縮させてカタゲン期やテロゲン期に移行させます。
女性では妊娠・出産後や更年期にホルモン変動が起こり、一時的に抜け毛が増えることがあります。
内的原因の評価にはホルモン検査や家族歴の確認が有用で、医師はこれらを基に治療選択を検討します。
栄養不足・ストレス・薬剤・治療の影響(生活要因)
タンパク質や鉄、亜鉛、ビタミンB群などの不足は毛母細胞の活動を低下させ、成長期の維持を妨げます。
急激な体重減少や偏食、長期のダイエットはテロゲン脱毛やカタゲン移行を起こすことがあります。
精神的ストレスや睡眠不足もホルモンバランスを乱し、毛周期を乱す要因です。
さらに一部の薬剤(抗がん剤、抗うつ薬、血圧薬など)は副作用として脱毛を生じるため、服薬歴の確認が重要です。
頭皮ケアや外的ダメージ(サロン施術・環境)の影響
頻繁なカラーリングやパーマ、強い熱処理は毛幹と毛包周囲の組織に負担をかけ、炎症や物理的ダメージから毛包機能を低下させることがあります。
頭皮の過度な摩擦や引っ張り(例えばタイトなヘアスタイル)は毛幹を弱らせ抜けやすくします。
環境要因としては紫外線や大気汚染、乾燥なども頭皮のバリア機能を低下させるため注意が必要です。
適切な頭皮ケアと施術頻度の見直しが、カタゲン期の過剰発生を抑える手段になります。
| 要因 | 具体例 | 影響の仕組み |
|---|---|---|
| 内的 | 遺伝、DHT、ホルモン変動 | 毛包感受性を高めアナゲン短縮を促す |
| 外的(生活) | 栄養不足、ストレス、薬剤 | 毛母細胞の活動低下やホルモン乱れを誘発 |
| 外的(環境・施術) | パーマ・カラー、熱ダメージ、紫外線 | 毛包周囲の炎症や物理的損傷で毛周期を乱す |
医学的視点:診断と治療の選択肢(頭皮・毛包の評価)
医学的には視診・問診に加えてダーモスコピーや血液検査、必要時には頭皮生検などを行い、抜け毛の原因を特定します。
毛包の状態や炎症の有無、血液検査での鉄や甲状腺ホルモンの異常などを総合的に判断し、内科的原因や皮膚疾患の有無を確認します。
治療は原因に基づき選択され、薬物療法や外用療法、生活習慣の改善を組み合わせて行うのが一般的です。
医師は患者の年齢、性別、希望、既往歴を踏まえて個別化したプランを立てます。
皮膚科での検査方法とカタゲン期の診断ポイント
皮膚科ではまず視診と触診で頭皮や毛髪の分布、炎症や瘢痕の有無を確認します。
ダーモスコピー(トリコスコピー)で毛幹の太さや毛包の状態を拡大観察し、アナゲン比率やミニチュア化の有無を評価します。
血液検査では鉄、フェリチン、甲状腺ホルモン、ホルモンプロファイルなどを調べ、必要に応じて毛髪の引き抜きテストや頭皮生検で毛包の組織学的変化を確認します。
これらの結果を基に、カタゲン期の過剰発生かどうかの判断と治療方針が決まります。
薬物療法(DHT抑制、成長促進)の種類と期待される効果
代表的な薬物療法にはDHT抑制薬(フィナステリドなど)と血行促進・成長促進薬(ミノキシジルなど)があり、それぞれ作用機序が異なります。
フィナステリドは5α還元酵素を阻害してDHT生成を抑え、男性型脱毛症の進行を遅らせる効果があります。
ミノキシジルは外用や内服で毛包の血流を改善し、アナゲン期を延長することで発毛を促します。
効果は個人差があり、継続使用が必要である点と副作用のリスクを理解した上で医師と相談することが重要です。
| 治療法 | 主な作用 | 期待効果 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| フィナステリド | DHT生成抑制 | 進行抑制(主に男性) | 性機能関連の副作用の可能性 |
| ミノキシジル(外用/内服) | 血行促進、アナゲン延長 | 発毛促進、毛幹の太さ改善 | 継続が必要、初期脱毛が起こる場合あり |
| 栄養補助/生活改善 | 栄養補給・ホルモン安定 | 毛周期の正常化を支援 | 効果は緩徐で個人差あり |
外用薬・内服・生活改善による改善策と治療の組み合わせ
効果を最大化するには外用薬と内服薬、栄養療法、生活習慣改善を組み合わせることが多くなります。
例えば外用ミノキシジルで局所の血流と発毛を促し、内服のフィナステリドでDHT抑制を行うと相乗効果が期待できます。
加えて鉄やビタミン補給、睡眠・ストレス管理、頭皮の適切なケアを行うことで毛包環境を整え、治療効果を持続させやすくなります。
治療は必ず医師と相談し、副作用管理や効果判定のため定期的なフォローを受けてください。
セルフチェック:カタゲン期を見極める方法と受診の目安
日常で自分の抜け毛や頭皮の状態を観察することで、カタゲン期による一時的な増加か病的な脱毛かの目安が得られます。
簡単なチェック方法や注意すべきサイン、受診のタイミングを知っておくと早期対処が可能になります。
以下のセルフチェック項目を定期的に確認し、異常が続く場合は専門医を受診してください。
日常でできる抜け毛・ヘアサイクルの簡易チェック方法
以下の簡易チェックを週に一度程度行ってください。
まず洗髪時の排水口にたまる毛の量を観察し、普段より明らかに増えているかを確認します。
次にブラッシングで抜ける本数を数え、通常より持続的に多い場合は記録を取りましょう。
鏡で頭頂部や分け目の地肌の透け具合を比較写真で保存すると経過が分かりやすくなります。
これらを記録し医師に提出すると診断がスムーズになります。
- 洗髪時の抜け毛量の記録
- ブラッシングで1回あたりの抜け毛カウント
- 頭頂部・前頭部の定点写真の保存
これが出たら要注意:薄毛・頭皮の異常サイン
以下のサインがある場合は受診を検討してください。
抜け毛の急増が数週間〜数か月続く場合、地肌が明らかに透けてきた場合、髪質が細くなり密度が減少している場合は病的脱毛の可能性があります。
頭皮の赤み・かゆみ・フケがひどい場合や痛みがある場合は皮膚疾患が関与していることがあるため早めの診察が必要です。
これらは放置すると回復が難しくなることがあるため、早期に専門医の評価を受けることを推奨します。
専門医に持参すると良い写真やデータ(周期・抜け毛記録)
受診時には症状が始まった時期、抜け毛パターン、服用中の薬、既往歴、家族歴を整理して持参してください。
定点写真(前頭部・頭頂部・側頭部)を複数時点で用意すると経過が視覚的に把握でき診断に有用です。
洗髪時やブラッシング時の抜け毛数の記録、サロン施術の履歴、栄養や生活習慣のメモも診察を効率化します。
可能なら血液検査結果や服薬一覧を持参すると医師が原因を特定しやすくなります。
カタゲン期対策:自宅でできる改善法と生活習慣の見直し
カタゲン期の過剰発生を抑えるためには、栄養摂取、睡眠の質向上、ストレス管理、正しい頭皮ケアの実践が基本です。
これらは単独では劇的な効果を期待しにくいものの、継続することで毛周期の正常化を支え、薬物療法との相乗効果が期待できます。
具体的な食事、頭皮ケア、生活習慣の見直しを日常に取り入れ、症状が改善しない場合は専門医と連携しながら治療を検討してください。
髪の毛の成長を支える食事・栄養(何を摂ればよいか)
毛母細胞を活性化するためにタンパク質を十分に摂ることが基本です。
加えて鉄(フェリチン)、亜鉛、ビタミンB群(特にB7ビオチンを含む)、ビタミンD、オメガ‑3脂肪酸などが毛髪の健康に寄与します。
バランスの良い食事を心がけ、必要に応じて医師や栄養士の指導のもとでサプリメントを活用すると良いでしょう。
過度なダイエットは毛周期を乱すため避けてください。
- 良質なタンパク質(肉・魚・卵・大豆製品)
- 鉄分(赤身肉、ほうれん草、レバー)
- 亜鉛(牡蠣、ナッツ、全粒穀物)
- ビタミンB群・ビオチン(穀類、野菜、発酵食品)
- ビタミンDとオメガ‑3(魚類、日光浴の適度実施)
頭皮ケアと正しいヘアケアで毛包を守る方法
頭皮ケアでは過度な洗浄を避け、適切な洗浄と保湿を心がけることが重要です。
シャンプーは自分の頭皮タイプに合ったものを選び、優しくマッサージするように洗うと血行促進になります。
熱すぎるドライヤーや過度な摩擦、きついヘアスタイルは避けてください。
定期的なヘアカットでダメージ部分を取り除くことも毛髪の健康維持に役立ちます。
睡眠・ストレス・生活リズムでヘアサイクル(周期)を整える
睡眠は成長ホルモンの分泌や体の回復に重要で、睡眠不足は毛周期に悪影響を及ぼします。
ストレス管理はホルモンバランスを保つために不可欠で、適度な運動やリラクセーション法、趣味の時間を確保することが推奨されます。
規則的な生活リズムを整えることでホルモンと代謝が安定し、毛周期の正常化に寄与します。
サロン施術や専門治療の利用タイミングと選び方
カラーリングやパーマなどのサロン施術は毛髪や頭皮への負担を考慮して頻度を抑えることが望ましいです。
専門治療(医療レーザー、メソセラピー、植毛など)は原因と症状の程度に応じて選択され、医師や専門家と相談して適切な時期を判断します。
自宅ケアで改善が見られない場合や進行性の薄毛が疑われる場合は早めに医療機関で相談することをおすすめします。
| 選択肢 | 適応 | 利点 | 留意点 |
|---|---|---|---|
| 自宅ケア(栄養・睡眠) | 軽度〜初期 | 低リスクで継続可能 | 効果は緩徐 |
| 薬物療法 | ホルモン関連や進行性 | 科学的根拠あり | 副作用管理が必要 |
| 専門治療(植毛等) | 重度の局所的脱毛 | 即時的に改善可能 | 費用・リスクあり |
よくある誤解とQ&A:カタゲン期に関する疑問を解消
カタゲン期に関する誤解は多く、正しい知識を持つことで不必要な不安を減らせます。
ここでは頻出する疑問に対して簡潔に回答し、治療や生活改善の参考にしてください。
個別のケースは医師に相談するのが確実です。
Q1 抜け毛=必ず病気?正常なサイクルとの違いを解説
抜け毛が必ずしも病気を意味するわけではありません。
個々の毛は独立したサイクルを持つため、日常的に数十本程度の抜け毛は正常範囲です。
病的な抜け毛は抜け毛量の持続的増加、地肌の透け、局所的な脱毛、頭皮症状の併発などが見られます。
これらの症状が数か月続く場合は専門医の受診を検討してください。
Q2 ミノキシジル・プロペシアなどの治療(DHT対策)の効果と限界
ミノキシジルは血行促進とアナゲン期延長で発毛を促し、プロペシア(フィナステリド)はDHT生成を抑え進行を遅らせます。
どちらも有効性が確認されていますが、効果には個人差があり継続使用が前提です。
副作用や適応の違いがあるため、使用前に医師と相談し、効果判定のため定期的に経過を観察することが重要です。
完全な回復が保証されるわけではない点も理解しておきましょう。
Q3 カタゲン期の抜け毛は回復する?成長期への復帰目安
カタゲン期そのものは短期の移行期であり、正常なサイクルであれば抜けた後に新しい毛がアナゲン期に入って再生します。
回復の目安は原因によって異なり、栄養不足や一過性のストレスが原因の場合は数か月で改善することが多いです。
ホルモン性や遺伝性の要因が強い場合は治療と長期管理が必要になることがあります。
自己判断が難しい場合は記録を持参して専門医に相談してください。
