男性型の薄毛(いわゆるM字・頭頂の薄毛)を語ると必ず登場するのがDHT(ジヒドロテストステロン)。この記事では、難しい用語をかみ砕きながら、仕組み→部位差→生活→受診の考え方まで一直線で理解できるように整理します。
30秒でわかる要点|DHTと薄毛の科学
テストステロンが5α-リダクターゼでDHTへ変換され、感受性の高い毛包で成長期が短縮→細い短い毛が増える、というのがAGAの要点。部位差(前頭/頭頂)と個体差が大きいため、セルフケアは土台づくり、医学的介入は専門家と相談が基本です。
- 生活でできるブレーキ:適温洗浄・十分なすすぎ・乾燥/紫外線対策・睡眠/栄養・ストレス管理。
- 医療の選択肢:領域によっては5α還元酵素阻害薬や外用薬が検討される(適応の有無は医師判断)。
DHTって何ですか?
DHT(ジヒドロテストステロン)は、男性ホルモンの一種でテストステロンから変換されます。毛包に作用して成長期を短縮させ、薄毛の大きな原因のひとつとされています。
DHTを減らすと薄毛は改善しますか?
AGA治療薬(例:フィナステリド、デュタステリド)はDHTの生成を抑制し、薄毛の進行を遅らせます。ただし個人差があり、早めの対策が効果を左右します。生活習慣改善や頭皮ケアと組み合わせると、より良い結果が期待できます。
DHTの正体:テストステロンから“ひと手間”かかって生まれる
男性ホルモンの代表格テストステロンは、5αリダクターゼ(5α還元酵素)によってDHTへと変換されます。DHTはテストステロンよりも受容体への結合力が強く、頭皮の毛包(髪の根本組織)に作用すると、感受性が高い人では毛の成長期が短くなるなどの変化が起こります。結果として、髪が細く短くなり、密度が落ちていく――これが男性型薄毛の基本イメージです。
5αリダクターゼには少なくとも1型と2型があり、頭皮や皮脂腺などの分布が異なると考えられています。
なぜ“額とてっぺん”が薄くなりやすい?:部位差のヒント
生え際や頭頂部は、後頭部に比べてアンドロゲン受容体や5α還元酵素の発現・分布が異なるという報告があり、これが部位差のある薄毛の背景として示唆されています。後頭部の毛は移植後も太さを保つことが多いのも、この“局所的な感受性の違い”の例として語られます。
部位差の概念図(一般情報)
【部位ごとの反応性(概念図)】 生え際・前頭部 :□□□■□■ ← 反応性が高い傾向 頭頂(つむじ周辺):□□■□□□ ← 中等度の傾向 側頭・後頭部 :□■□□□□ ← 低い傾向 ※ 個人差が大きく、すべての人に当てはまりません。
生活でできる“ブレーキ”(まずは土台を整える)
「ホルモンが原因なら生活で何をしても無駄?」――そんなことはありません。
DHTそのものを直接いじらなくても、炎症・酸化ストレス・血流・自律神経・乾燥などの要因を整えることで、
毛包まわりの環境(コンディション)を整えることは現実的に可能です。下の4つの柱を“毎日当たり前にする”ことが、総合的な減速につながります(一般情報)。
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睡眠の質を上げる(自律神経・代謝の土台)
- 就寝/起床リズムをそろえ、睡眠負債を減らす。
- 就寝90分前は強い光とカフェインを避ける。ぬるめの入浴で入眠準備。
- いびき・睡眠時無呼吸の疑いがある場合は医療相談を検討。
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ストレスと筋緊張をほどく(血流・交感神経の過緊張を緩める)
- 短時間の運動・入浴・趣味時間で緊張をオフ。
- 側頭〜後頭の筋膜ストレッチを毎晩2分。
歯ぎしり・食いしばりがある人は就寝前のリリースも。
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生活習慣(喫煙・アルコール・栄養)を整える(末梢循環・皮膚代謝の観点)
- まずは就寝前4時間は禁煙、休肝日を設定。
- 食事は 主食+たんぱく質+野菜+適切な脂質。極端な減量や偏食は回避。
- 体重・体調の大きな変化時は、写真ログにメモを残す。
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頭皮の炎症を作らない(洗浄・温度・乾燥・紫外線)
- 洗い方/乾かし方:指の腹でやさしく洗い、十分にすすぎ、最後は冷風で熱を残さない。
- お湯の温度:目安は34〜38℃。湯シャン温度と皮脂の考え方も参照。
- 乾燥・紫外線:屋外は通気性の良い帽子などで保護(清潔を維持)。必要に応じて保湿で頭皮環境を整える(詳しくは 乾燥ガイド)。
- 整髪料:落とし残しは刺激や臭いの原因。就寝前にオフ。
今日からのチェックリスト
要点(7項目のショートリスト)
- 睡眠:就寝/起床リズムをそろえ、睡眠負債を減らす。
- ストレス対策:短時間の運動・入浴・趣味時間で緊張をほぐす。
- 洗い方/乾かし方:指の腹でやさしく洗い、十分にすすぎ、最後は冷風で頭皮に熱を残さない。
- お湯の温度:目安は34〜38℃。熱すぎは乾燥や皮脂反応を助長。
- 紫外線・乾燥:屋外は帽子等で保護(通気性と清潔)。必要に応じて保湿で頭皮環境を整える。
- 栄養バランス:主食+たんぱく質+野菜+適切な脂質。極端な減量や過度な偏食は避ける。
- 記録の継続:写真ログ(同条件)と簡単なメモで“傾向”を把握。
※ 本セクションは一般情報です。強い炎症・痛み・膿・急な脱毛などがある場合、または不安が続く場合は医療機関にご相談ください。
医療で語られる一般的な選択肢(情報の取扱いに注意)
男性型薄毛の医療では、「ホルモン経路に介入する薬」や「毛包に成長期シグナルを与える外用」が一般に知られています。いずれも適応・禁忌・副作用があるため、自己判断での開始・中止は避け、医療者の説明を受けた上で進めてください。
- 5αリダクターゼ阻害薬(内服):5αリダクターゼ活性を抑え、テストステロンからDHTへの変換を減らす狙いの薬。効果・副作用・PSA低下等の注意点を医師と相談の上で判断。
- 外用の選択肢:毛包の成長期シグナルに働きかけるタイプなど。既往症や併用薬を含む総合判断が必要。
「いつ相談すべき?」の目安は、家族史がある/写真で進行を自覚/生活改善でブレーキが利かないのいずれか。受診時は写真ログと生活ログを持参しましょう。
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よくある質問
※ 本セクションは情報提供のみを目的としています。診断・治療・医薬品の使用可否は医師・薬剤師等の専門家へご相談ください。
サプリや食事でDHTは直接コントロールできますか?
不足栄養の補正は一助になり得ますが、単一の食品やサプリでホルモン経路そのものを直接コントロールする発想は現実的ではありません。一般的には、 バランスの良い食事や適正体重の維持が全身状態を支え、頭皮環境を整える土台づくりに寄与します[2]。 生活の土台調整 → 必要に応じた医療的評価、という順番が現実的です。
シャンプーを変えたらDHT対策になりますか?
シャンプーは頭皮を清潔に保ち、環境を整えるためのものです。DHTそのものを左右することを期待するより、 正しい洗い方・お湯の温度・乾かし方で炎症や乾燥といった毛包環境の悪化を招かないことが現実的です[3]。
「DHTが高い=必ず薄毛」なのですか?
一概には言えません。毛包の感受性や部位差(生え際・頭頂など)、遺伝素因、年齢、生活要因などが関与し、個人差が大きいと考えられます。 数値のみの単純比較で判断せず、気になる場合は写真ログなどの客観資料を持参して専門家に相談してください。
まとめ:仕組みを知れば、行動はブレなくなる
- DHTは5αリダクターゼによる変換で生まれ、毛包の感受性次第で成長期短縮などを引き起こす。
- 部位差(生え際・頭頂)が生じるのは受容体・酵素の分布や反応性の違いも背景。
- 生活の“土台”を整え、必要に応じて医療相談――この二段構えが現実的かつ再現性の高い対策。
今日の確認テスト
5問中4問以上正解で合格です。答え合わせ後には正誤と解説が表示されます。
参考リンク(公的・学術機関を中心に)
脚注
- [1] 皮膚科領域の教科書・学会資料等で述べられる一般的な説明(例:日本皮膚科学会、AAD など)。
- [2] 公的機関の栄養・生活指針(例:厚生労働省「食事バランスガイド」等)。
- [3] 皮膚衛生の一般指針(公的機関・学会の解説)。
次に読む: 抜け毛対策ロードマップ → AGAの教科書
